「土地の登記をする時に、公共の基準点を使用しなさい。」

このような事実を、一般の方がどれだけ知っているんだろう?

おそらく、ほどんどの方は知らないと思います。

そして、それが、何を意味するかも、理解しにくいかと思います。


少しだけ解説しますと、もともと

土地の登記の図面(地籍測量図)は、座標というもので、

境界杭の位置関係を表示しておりました。

その座標は、対象となる土地の境界杭の位置関係だけを

ただしく表しているものであれば、良かったのです。


それが・・・

法務省からの通達が・・・!

※平成18年8月15日付法務省民二第1794号により法務省民事局民事第二課長から

その内容は、簡単に言い換えると

土地の登記の図面を、公共の基準点(市町村等が管理する基準点)と

整合が取れるように作成しなさい。もし、従来の方法でした場合は

登記を受付しなくても良い。

というものでした。


これによって何が変るのでしょうか?

将来、土地の境界線を、世界共通の座標で日本全国を管理、把握できるように

なります。 みなさんが生きている間は無理でしょうけど^^;

(ただし、まだ公共の基準点自体に問題があり、測量の仕方で数センチの

違いがでます。 都会の土地を想像していただけたら分かるとおり

都会の土地の境界線は、数センチをめぐって争っていることが多いのです。

まだ制度の過渡期で、第一歩目を踏み出したという状態でしょうか。)


現在、都会であれば、公共の基準点が数百メートルごとに設置されています。

今までより広範囲にわたり測量をする必要がでてきたわけです。

それによる費用は、場所や事務所による違いがありますが、

5~10万円も掛かります。

もし、今までの費用が50万円であれば、60万円になるのです。

実際には負担増に気がつかづにお金を払っている方が結構います。


このような取り扱いは、早かれ遅かれ、必要がでてくるかもしれません。

しかし、問題は

土地を持っている方すべてに関係があることで、

しかも大きな負担を強いる内容であるにもかかわらず、

国民一般に向けての広報活動を全く行わないうちに

一本の通達から、そのような取り扱いを開始してしまったのです!


それは、悪しきお役所体質であるような気がするのは

私だけでしょうか?

本来ならば、もっと一般に知っていただいてからするべきだったのでは?

そう思ってやみません。


私達 土地家屋調査士は、法務省が決めた取り扱い通りに

登記を行っています。 そして、皆様になるべくご理解をしていただけるように

説明をしています。 しかし、これを理解をしていただく事は容易なことでは

ありません。 今からでも遅くないから、法務省に動いてほしい・・・


この取り扱いの問題点の1つを取り上げてみました。

土地を持っている方には、特に知ってほしいです。

みなさんは、どう思われますか?



==事務所(大阪府)==
江川土地家屋調査士事務所