境界トラブルで、当事者は当然自己の権利を主張します。

しかし、この主張が社会的観点からすると、とても考えにくい内容であったりします。

これは、争っている当事者は、相手に対する怒りや憎しみの気持ちの大きさから

非常に視野が狭くなり、また、起こっている問題を誇大に考えてしまうものだからです。

もしできることならば、民法の”権利の濫用”(乱用)を知ったうえで

話し合いができれば、解決の可能性がでてくるときもあるのでは・・・と思います。

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民法1条3項
「権利の濫用は、これを許さない。」

民法の冒頭でこう定められています。

具体的にいうと、

・権利で認められていても、法の趣旨を逸脱している行為

・社会的に認められにくい行為

は許されませんよ、ということです。

これが境界トラブルでも該当します。


【 多い事例として 】

「構造物や建物が越境している時、それを壊すように請求できるかどうか?」

自分の土地を自分のために精一杯 活用したいと思うのは当然です。

これは”所有権”という権利によって守られています。

この所有権が侵害されたら”妨害排除”という形で、相手に請求

することができます。 この権利に基づけば、例え1センチでも

数ミリでも 越境しているものを排除できるはずです。


しかし、社会的な観点にたってみましょう。

1センチの土地の利用を回復するのに、相手が多額の費用を

要するとしたら、それは社会的に有益な事でしょうか?

このような場合は、権利の濫用として、裁判をしても排除できない可能性があります。



トラブルの当事者となっていない方には、そんなちょっとぐらい~

と思われるかもしれません。

しかしトラブルの当事者となっている方は、この1センチが大事なのです。

場合によって数ミリで争っている場合もあるのです。


自分の土地は関係無い・・・。この考え方は とっても危険です。。。


・・・つづく



==事務所(大阪府)==
江川土地家屋調査士事務所

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